web3ファイナンスの調査研究レポート紹介②【web3ウォレット】
- Shoichiro Tahara
- 7月18日
- 読了時間: 3分

6月後半にweb3ファイナンスに関連する2つのレポートが公開されたので紹介したいと思います。web3の金融領域における最新の動向を抑えるだけでなく実務面に即した内容になっており今後のweb3エコシステムの在り方や発展に向けた方向性の提言を含む有意義な内容です。1回目のステーブルコインに関するレポート紹介に引き続いて、2回目はweb3ウォレットに関するレポートを紹介します。
■HashPort社と慶応大学のweb3ウォレットのルール形成に係る研究報告レポート
web3ウォレットサービスの現状俯瞰と更なる発展に向けたルールメイキングの方向性を提言する研究報告レポートが6月24日に発表されました。
レポートによると、足元、金融当局を中心に暗号資産に関する規制等の見直しが議論(※1)されている一方でweb3ウォレットサービスへの規制(※2)に関する議論が十分になされていないとされている。このような状況を踏まえ 現状課題の整理ならびに今後のルールメイクの方向性について提言されています。web3のマスアダプションのキーファクターになるであろうweb3ウォレットの規制上の在り方や、ウォレットサービスプロバイダーとCeFi[Centralized Finance] 事業者(:中央集権的な既存の金融サービス事業者)との連携についても言及されており(※3)、非常に読み応えのあるものになっています。是非ご覧頂ければと思います。
※1 金融庁 資金決済制度等に関するワーキング・グループ報告より
※2 (同レポートより)
Web3ウォレットには事業者が秘密鍵を管理するホステッド型(カストディアル型)とユーザー個人が秘密鍵を管理するアンホステッド型(ノンカストディアル型)のウォレットに大別される。日本において、前者の提供においては暗号資産交換業の登録が必要とされている一方、後者は資金決済法や犯収法上の規制の対象となっていない一方で、同サービスの提供事業者は暗号資産交換業に該当する行為ができないため、暗号資産やステーブルコインを法定通貨に交換する機能を自ら提供することは困難とされている。なお、アンホステッド型(ノンカストディアル型)のウォレットのデファクトスタンダートであるメタマスクはグローバルで月間 3,000万人のユーザーが利用し日本でも先進層の相当ユーザーが利用と推察される。
※3(同レポートより)
特にルール整備に関して、新たな仲介制度の設置およびCeFi既存事業者との連携のハブとしてのweb3ウォレットが機能し、取引時確認等を既存事業者が行うことでAML/CFTに係るリスクコントロールが一定確保できるのではないかという方向性を提示。