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web3の概観

更新日:2月19日

web3


目次




■はじめに


足元では様々なweb3サービスが登場しています。中央集権型の伝統的な大企業がweb3領域に参入する事例も増えてきており新しいテクノロジートレンドの一翼を担う存在感を示している。一方でweb3というキーワードは見聞きしたことはあるが具体的な内容については理解が追い付いていない、という声もビジネスの現場ではよく聞かれる。本稿ではweb3の概念を整理し、現在のweb3の立ち位置を市場規模や成熟度の側面から取り上げるとともに、従前のweb2との違いについても触れていきたい。web3の概観理解やビジネス検討の一助となれば幸いである。





■web3とは?


web3とは巨大プラットフォーマーを介さずに、個人が双方向に自由につながることで、価値や情報が各個人に分散した状態にある新しいインターネットの潮流である。比較的新しい概念であり様々な解釈が存在、一例として 経済産業省では『ブロックチェーン上で、暗号資産等のトークンを媒体として「価値の共創・保有・交換」を行う経済』と定義している。web3に進化することで、ユーザーはRead(読む)、Write(発信する)し、Own(所有する)できるようにより自由度の高い活動が可能になりつつある。


web1:一方通行の時代

・ホームページやメールによる一方通行のコミュニケーション

・テレビや雑誌などのマスメディアによらない情報発信

   ⇒ユーザーはHPやeメール等を通じて”Read”する

 

web2:双方向の時代

・SNSやブログなど双方向のコミュニケーション

・クラウド技術やプラットフォームによる価値の中央集権化

 ⇒ユーザーはSNSやブログ等を通じて”Write”する

 

web3:分散の時代

・ブロックチェーンによる自律分散型のコミュニケーション

・NFTにより所有の概念、価値の分散化

 ⇒ユーザーはNFTや暗号資産、DeFiやDAO等を通じて”Own”する


web3とは


■web3が生まれるに至る背景


web3は下図(※1)で示す技術・社会・経済的な複数の要因の重なりによって誕生したトレンドとされている。


・技術面ではリーマンショック以降のテクノロジーの進展による、中央管理者を介さない情報管理や取引をベースとした分散型サービスの登場


・社会面ではGAFAMによる中央集権化へのアンチテーゼや中央集権システムへの懸念による分散志向への回帰や、NFTなどのファントークンによるコミュニティ醸成ニーズの高まり


・経済面では2021年~2022年にかけてのweb3へのVC投資の活性化


このような成り立ちの背景から「テクノロジー」と「思想(イデオロギー)」それぞれの文脈で語られることが特徴であり、単なる技術的進化ではなく、中長期的な時間軸にたつと、個人・法人を巻き込みヒト・モノ・カネの経済活動を根本から変える可能性を秘めた潮流と言えるだろう。


web3誕生に至る背景

※1 経済産業省 大臣官房Web3.0政策推進室資料をもとに当社作成  https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/pdf/010_03_01.pdf







■各種レポートから見るweb3の立ち位置


様々な市場予測レポートがでているが、一例をあげるとweb3の市場規模はグローバルで、2023年に29億9,000万米ドルを占め、2024年から2032年にかけてCAGR44.5%で成長し、2032年までに819億1,000万米ドルの市場規模を達成すると予測。アジア太平洋地域は予測期間において最も成長速度が速くCAGRは47%になるとされている(※2)。一時期と比較するとブームはやや落ち着いた感があるものの、潜在的には市場からの期待値が高くポテンシャルを秘めた領域と言えるだろう。


次に、web3に対する期待値についてみていきたい。調査会社ガートナーの2024年レポートによるとweb3はハイプ・サイクルの「幻滅期」に位置していることがわかる(※3)。これは、過度な期待が落ち着き、より現実的な評価がなされている段階を示している。長期的に根付くテクノロジーは幻滅期を経て市場に適応されていくとされており(※4)、web3は正に真価を問われるステージにあると言えるだろう。革新的なユースケースの発明やweb3が持つ特性による社会課題の解決がマスアダプションへの弾みとなるだろう。幅広い認証への拡張性を秘める分散型IDや、海外送金等のコストを劇的に下げるといわれているステーブルコイン等のweb3ファイナンス、コミュニティ参加者が公平にメリットを享受できるDAOなどの分野が足元で着目されており既存サービスのアップデートが期待される。


なお、同社別レポートによると生成AIの市場成長率は35.3%(2024年~2032年)とされweb3がより高い成長率予測となっている






■web2とweb3の違いは何か?


最後に、中央集権的なweb2と分散型のweb3を比較することでweb3への理解を深める一助としたい。下図はヒト・モノ・カネという切り口で整理したものだが、根幹となる信頼モデルの依って立つところの違いがビジネスモデルやユーザーに近い上のレイヤーでのサービスの差異につながっていることを理解いただけるのではないだろうか。

web2とweb3の違い




■まとめ


web3はプラットフォーマーを介さず個人が双方向に自由につながることで、価値や情報が分散した状態にある新しいインターネットの潮流である。テクノロジー×ビジネスにおけるトレンドとして、既存サービスをアップデートする可能性を秘めたテーマである。政府も国策として環境整備に注力し(※5)、多様な業界のリーディングカンパニーが成長戦略・ビジネスモデル変革の一環としてweb3を活用したビジネスやサービスの構想・実証に着手し始めている。


※5 岸田政権における「新しい資本主義」での言及、石破政権における地方創生2.0との連携、自民党におけるweb3プロジェクトチームによる政策立案 等



STコンサルティング&ワークスでは、ITスタートアップでの実務経験と大手企業への豊富なコンサルティング経験を有するコンサルタントがweb3を活用したビジネス構想やユースケース検討などお客様のweb3企画を伴走支援します(サービス概要はこちら)。お気軽にお問い合わせください。






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